オーソペディーシューズとは

“靴と医療の先進国”ドイツが生んだ
オーソペディーシューズ

ドイツには、オートペディ・シューマイスター(整形外科靴職人)という整形外科の知識を持った靴職人がいます。整形外科靴というのは、痛めた足を改善し、健康な足を取り戻す為の治療的意味合いの靴から、快適な歩行のための靴まで幅広く「個別の足」に対応する靴のことで、この資格を得るには、とても長い養成期間と深い教養が必要とされています。

高い技術と深い知識をもった
ドイツの整形外科靴職人
オーソペディ・シュウマイスター

オーソペディ・シューマイスターは靴に関する技術だけでなく、医学や解剖学、病理学などの知識を習得し、マイスター試験(国家試験)を合格した靴職人です。この技術・知識を養成するのに、ドイツでは8年間もの養成期間を義務づけています。
15歳頃から多くは靴職人のもとへ3年間半の弟子入りをします。その中で靴の専門的技術を身につけながら、週1回、専門学校において整形外科学を学びます。この後にゲゼレ試験(整形外科靴技術見習)に合格した者は、次にマイスターのもとで店あるいは工房にて、さらに3年半の見習い。その後に9ヶ月間全日制のオーソペディー技術者専門学校へ行きます。ここで解剖学や生理学などの他、高度な靴づくりを学んだ後、ようやくマイスター試験を受けることができます。この試験に合格したものにオーソペディ・シューマイスターの称号が与えられ、晴れて自分の工房や店を持つことができるのです。

ドイツ以外の国にも同様な資格はありますが、これほど長い養成期間と深い教養が要求されている国は、他にはありません。 [END /オーソペディ・シューマイスターは靴に関する技術だけでなく、医学や解剖学、病理学などの知識を習得し、マイスター試験(国家試験)を合格した靴職人です。この技術・知識を養成するのに、ドイツでは8年間もの養 ]

ドイツの靴事情

ドイツ国内には現在約6000人(15000人に1人の割合)ものオーソペディ・シューマイスターがいます。彼らのもとを訪れるのは、重度の障害者ばかりではありません。ごく一般的に、快適な歩行生活を得るためにマイスターの工房や店を訪れ、自分に合った靴を購入する人も年々増えつつあります。それはマイスターの店の高い品質と信頼が人々に広まった結果なのでしょう。
例えば、ドイツにはたくさんの子供靴専門店があり、販売員が子供を座らせて足を見、測定し適切な靴を合わせています。そこでは足と靴に対する様々な基礎知識を見てとることができ、親と販売員の間では和やかな中にも真剣な雰囲気が伝わってくるのです。日本の靴屋でよく見かける、ただメーカーのサイズを信じ、子供が履いた靴の爪先を押して買い与える親子の姿とは、ずいぶんかけ離れた様子でした。

私たち靴技術者にできること

坂本竜馬が草鞋を捨てブカブカな西洋式革靴を履いて帯刀和服姿という“洋才和魂”。それから100年以上経った今日、確かに日本の靴はファッションでは世界の一流を多く生み出しています。しかし、ことに健康靴、ハンディキャップのある人の靴、治療のための靴、そして一番基本的な「個人個人の足に合わせた靴」に関する認識は、はなはだ遅れているのが現状です。
足に障害をもった子供たちに履かせている、真っ黒でいかつい革靴。お医者さんに処方してもらった足底板や装具は靴に入らず、24センチの女性が男物の26センチのズックしか履けないと嘆く人たち。足に障害のある老人の衰えた足を助けているというよりは、介護者が履かせやすくて脱がせやすいことを優先しているとしか思えない靴。魚の目やタコだらけの足が痛くて仕方がないのに、会社で決められているからと、その粗悪なパンプスを止められない女性と、止めることを許さない会社。幼稚園から始まる学校で強制的に履かされる“上履き”や、医療のプロが履くお粗末なナースサンダル、子供の健康のためといって足を過剰に保護したスニーカー・・・。多くの間違った靴による健康への弊害は、数え上げたらきりがないほど深刻なものです。

“医療の靴先進国”ドイツを中心としたヨーロッパの歴史ある靴文化と高い技術を持つ人々の指導のもと、私たち日本の靴技術者は、日本の靴の売り手側や買い手側、そして医療関係者にも、本当の靴をもっと知っていただき、日本の靴の現状を微力ながら変えていきたいと考えています。